居宅介護支援事業の指導監査対策

 このページでは居宅介護支援に関する指導監査がどのように行われるのか、なにを調査され、指導を受けることが多いかについて入手した資料などに基づいて情報提供します。指導監査によって報酬減算の憂き目にあわないよう、日常的に指導監査を想定した事業運営をするようにお互いに心がけましょう。
 ここに提供する情報は、公的機関が公表しているものではありません。個人的に集めた情報や協力事業者(主として東京都の事業所)からの情報提供に基づいています。したがって、事業所の所在地によって要求される文書や調査の方法が異なることがあります。予めご了承ください。

1 誰が調査に来るか
 基本的に都道府県の職員2名と事業所の所在地の区市町村職員2名です。

2 事前に連絡があるか
 通常は調査日の1週間ほど前に連絡がありますが、朝連絡があって数時間後に調査員が訪問することもあるようです。苦情が多い事業所などは抜き打ち調査があることを覚悟しておく必要があります。

3 なにを基準に指導監査するのか
 基本的には、都道府県単位で公表されている「指導監査基準」に基づいて調査します。この基準は予告なく変更されることがありますので、常に最新の情報を手に入れましょう。

4 人員基準に関する調査
 事業所運営に必要な人員規定が守られているかどうか調査します。
 コムスンが指定更新できなくなったのは悪質(故意の)な人員規定違反があったためといわれています。過去に遡った運営体制がチェックされると考えていた方がいいでしょう。
 指定をとってから現在までの期間にケアマネジャー不在の状態で事業運営がなされていなかったか調査されます。

 ケアマネジャーの資格等に関する調査

@所属ケアマネジャー・管理者の資格者証と登録証明書のコピー。
  携帯版のものは認められません。
A雇用契約書及び労働条件通知書、就業規則などの労働条件を記載したもの。
  事業所の指定内容と時間的なずれがない確認。
Bケアマネジャー・管理者の履歴書。職務経歴のみを記載した経歴書よりも履歴書がよい。
C事業所の職員体制が分かる職員名簿。
  指定を受けて以来のすべての勤務者の入職、離職記録を保管する。
  居宅介護支援以外の事業も行っている場合は、全職員の履歴書、契約書、資格者証(登録   証)のコピーを一つのファイルに保管するといいでしょう。
D出勤簿又は勤務表。出勤簿が整備されている方がよい。(月に1回は漏れがないか確認)
Eケアマネジャーがもっている介護福祉士、社会福祉士などの資格者証。
F事業所の指定時に所属していたケアマネジャーに関しても@〜Eを保存する必要があります。

5 事業運営に関する文書等の調査
@契約書
 雛形の契約書をそのまま使っていると現在の指導監査基準に適合しないことがあります。「ケアプランは中立公正な立場から作成する」ことを明確に書き込む、個人情報保護に関する記述を充実させる、苦情の窓口・担当者・役職を明確にすることが必要です。
 当然のことながらケアマネジャーの氏名や契約日の記載、利用者の住所、署名、捺印又は代理人の住所、署名、捺印、本人との関係が記載されていることを確認しましょう。
A重要事項説明書
 事業所の事業内容、人員等、事業所の営業時間と休日などが分かりやすく記載されているか確認しましょう。説明者(ケアマネジャー名)、日付、説明を受けたことを確認するための利用者又は代理人の住所、氏名、捺印もチェックしましょう。
B運営規定
 ケアマネジャーの担当可能プラン件数を記載しましょう。事業所の運営の基本になる文書ですので事業運営状況に応じて定期的に見直す必要があります。
C苦情受付・処理に関するファイリング
 苦情受付から最終処理までの手順等を記載した苦情処理マニュアルを備え(協力事業者ネットで提供しています)、苦情の受付日時、苦情の内容、担当者名などからどのように対応したか、利用者に処理内容をいつどのように伝えたかなど記録を残しましょう。
 苦情に関する処理票などは一つのファイルにして保管しましょう。

6 ケアマネジャーの作成する文書の調査
 ケアマネジャーの作成する文書に関しては、最初に第6表の支援経過を徹底的に読み込むことから調査が始まります。第6表から時系列に利用者の変化、それに伴うサービスの変更、区分変更、入退院などを取り出し、それぞれの時点でケアマネジャーとして行わなければならないサービスが的確に提供できているかその証拠を探します。更新認定後などの担当者会議を行うタイミング、連絡調整やサービス変更のタイミングなどが遅いと「指導」されます。
 第6表にはケアマネジャーの支援の経過がすべて書き込まれていることが前提になります。プランが変更になっているのに第6表に記載がない場合、その逆の場合など「指導」されます。
 不快な思いをせずに指導監査を終えることは不可能に近いことですが、プランの正当性を主張するためにも第6表を書き込みましょう。

ケアマネジャーが作成する個別の文書で注意すること
@居宅サービス計画の交付
 第1〜3表は、必ず利用者に説明して交付しなければなりません。説明を受けたことを確認する利用者又はその代理人の署名捺印をもらいましょう。また、利用しているソフトの第1表に記載されない場合、「居宅サービス計画について説明を受け内容に同意しました。+年月日」などのゴム印を押した上で確認の署名捺印をもらい、年月日をその場で入れましょう。
Aモニタリング
 モニタリングの結果は、第6表に記載するのではなく、別表に目標ごとに達成状況を具体的に記入しましょう。IADLとADLを含めて目標の達成状況とプランがリンクしていることが重要です。月1回モニタリングすることが義務になったので、達成度を○で囲む方式などの手法で手間をかけずに作成できるようにしましょう。
B事業者へのプランの送付
 訪問介護、通所介護などの事業所には必ず1〜3表を送付しましょう。プランには定期的なサービスに加えて、緊急時の通院介助など想像できる範囲で記載しましょう。監査等では、プランに即したサービスを提供してないとの理由で報酬返還を求められることがあるので、それぞれの事業者からの要望を予め盛り込んでおく方が無難です。
 サービス変更のたびに変更したプランを利用者に見せて署名捺印をもらう必要があるとの情報もありますが、利用者の状況に応じてサービス内容を変更する旨プランに明記してあれば、緊急時の通院介助などは実績で変更可能なはずです。
 ケアマネジャーは、プランと実績の違いを説明できるように第6表にサービス変更の理由などを書き込みましょう。

7 その他
 ここでは指導監査と書きましたが、指導と監査は異なります。監査は、指導などに従わない場合に実施されるもので、いきなり監査をされることはあまりありません。(具体的な証拠を元に苦情が寄せられた場合や悪質と思われる場合はいきなり監査もあり得ます。)